ロシア軍のウクライナ侵攻に対する抗議声明Statement of Protest against the Russian Military Invasion of Ukraine

 

ロシア軍のウクライナ侵攻に対する抗議声明

 

 私たちは、ロシア軍のウクライナに対する軍事侵攻に抗議し、戦闘の即時終結を求めます。報道では無差別住民虐殺さえ伝えられていますが、特にこうした民間人に対する攻撃および学校・病院など民間施設への攻撃を断じて許すことはできません。国際連合では女性や子どもに対する性暴力も報告され、独立調査を求める声が聞かれます。さらに、核兵器による威嚇や核施設への攻撃は、恒久平和の実現を目指す人類の真摯な努力を踏みにじるものと言えます。


 東京唯物論研究会運営委員会は、戦時下の思想統制によって戸坂潤や永田廣志ら唯物論研究会の会員が検挙された歴史を深く心に刻んでいます。今回の事態にかぎらず、歴史上、さまざまな国家がその暴力でもって、他国で、あるいは自国で、多くの犠牲者を生み、生存権はもとより学問研究の自由や報道の自由を含む個人の権利と尊厳とを侵害しました。その記憶とともに私たちは、あらゆる人権侵害、あらゆる戦争に反対し、これと同じ声を上げる——ウクライナとロシアを含む——世界の人びとに連帯の意を表明します。



                          2022年4月16日 
                    東京唯物論研究会 運営委員会

 

 

 

 

Statement of Protest against the Russian Military Invasion of Ukraine

Steering Committee of the Tokyo Society for Materialist Studies

 We protest the Russian military invasion of Ukraine and call for an immediate end to the fighting. The continued attacks on civilians and civilian facilities such as schools and hospitals are unacceptable. At the United Nations, there have also been reports of sexual violence against women and children, with calls for an independent investigation. The war has also raised the threat of attacks on nuclear facilities or the use of nuclear weapons, which are an affront to humanity's efforts to maintain lasting peace.
 The Steering Committee of the Tokyo Society for Materialist Studies is deeply mindful of Jun Tosaka, Hiroshi Nagata, and other members of the Japan Society for Materialist Studies, our ancestral society of wartime Japan, who were arrested and cast into prison by the wartime Japanese dictatorship because of their critical attitudes against Japanese war policies. We also take into serious consideration that in Japan and other countries around the world state violence has been causing countless victims, and human rights and dignity, including the right to life, freedom of study and research, and the freedom of the press, have repeatedly been repressed or violated. With this historical memory in mind, we sincerely express our solidarity with the peoples of the world - including those in Ukraine and Russia - who are speaking out against all human rights violations and wars.

 


                          April 16, 2022

2015年度総会決議事項:安全保障関連法反対決議

 

日本を対米従属的な軍事国家に貶める「安全保障関連法」に反対し、平和憲法と民主主義を蹂躙する安倍自公政権の退陣を要求する

 
 唯一の被爆国であるとともに主権在民の平和憲法を掲げる日本国には、世界平和の担い手として幅広い平和活動を展開する責務がある。ところが安倍自公政権は、昨年11月21日に解散総選挙を行い衆議院で三分の二以上の与党議員数を握るや否や、憲法解釈変更という強引な手段で平和憲法をふみにじり、対米従属的な軍事国家に向かう歩みを着々と進めている。

 その決定的な一歩として安倍内閣は2015年9月19日に、法治国家の根幹を蹂躙し、国民多数の反対を無視して戦争法と言うべき「安全保障関連法」を成立させたのである。

 そこに至るプロセスは次のようなものであった。まず、法案提出以前にもかかわらず、安倍首相は4月29日の米国上下両院合同会議において、「安全保障関連法」を夏までに成立させると公言して米国の歓心を得ようとした。これは日本国民と国会をないがしろにする言語道断の行為である。次に、ほとんどの憲法学者が違憲だと指摘し、国民の大部分が説明不足だと感じているにもかかわらず、政府与党は7月16日に衆議院で法案を強行採決した。しかるに、参議院特別委員会では議事録においても採決の確認ができないとされるほど議場が騒然となり、したがって正規に法案採決が確認されたとは言えないにもかかわらず、国会前に集まる数万人の反対の声をも無視して9月19日に参議院での採決を行ったのである。

 本会では昨年度の総会で「集団的自衛権容認反対決議」を行い、「現政権による集団的自衛権容認の閣議決定、および戦争リスクを増大させ国際平和に反するような将来のあらゆる政策に対し、反対の意を表明すること」を決議し、「研究団体として、世界平和の実現と世界中のすべての人々の人間性の回復に資する研究成果を上げるべく邁進していくこと」を確認した。この「決議」にしたがい、本決議においても現政権が成立させた「安全保障関連法」に反対するとともに、上記で述べたように現政権がその成立過程において立憲主義と主権者たる国民を蹂躙したことを民主主義の深刻な危機と受け止め、安倍自民党政権の退陣と安保法制の廃止、一切の武力によらない国際平和の樹立に向けた政策の実現を要求する。

 今回の「安全保障関連法」の成立によって、国家間の対立による戦禍だけではなく、イスラム過激集団のテロ行為など、予測のできない不安定な事態が起こる今日の世界情勢の中で、日本は米国と敵対する組織の攻撃対象国となる道を突き進むことになる。言い換えれば、日本は国内においても大変な危険を背負い込むことになったと言えるのである。東京唯物論研究会は国内外の平和を脅かすこの「安全保障関連法」を廃止させ、日本が平和憲法を遵守し世界平和の担い手としての中心的な役割を果たすことのできるよう、今後も研究活動をますます発展させ、平和を願う人々の期待に応えていくことをここに決意する。

 

                               2015年11月28日
                        東京唯物論研究会総会

2014年度総会決議事項:集団的自衛権行使容認反対決議

 

集団的自衛権容認反対決議

 2014年7月1日、安倍政権は立憲主義をないがしろにし、憲法解釈の改悪によって個別的自衛権を超える集団的自衛権の容認を閣議決定した。戦後日本は平和憲法の下、平和運動はもちろん政府与党でさえ、海外での直接的武力行使をきわめて困難とする体制をつくってきた。この度の閣議決定はそのような平和への努力をないがしろにするものであり、体制へと転換させる第一歩であり、日本の戦争参加の可能性を著しく高めるものである。

 集団的自衛権の容認によって日本は、自国と自国民が攻撃されなくとも戦争や紛争に介入し、武力行使できるようになる。新自由主義を標榜する先進諸国の現在および将来の重要な課題はグローバル市場秩序を維持することであり、そのためには秩序の攪乱者に対して武力行使することも辞さない。集団的自衛権容認はこうした現代帝国主義への日本の加担を強めるものであり、暴力によって国外の人々の生活や文化の破壊をもたらす危険性を高める。武力介入の根拠となるのは日本の国益、究極的には経済的利益であるが、経済的利益のために紛争地域では多くの血が流れ、日本国民は兵士として、殺したり殺されたりする存在にまで貶められる。これは人間の尊厳の大いなる毀損であり、決して見過ごすわけにはいかない。

 集団的自衛権を容認する安倍政権の憲法解釈は、日本国憲法の平和主義の精神を否定し、戦後日本が積み上げてきた平和の歴史に反する。人間の尊厳に反する。なにより、日本の帝国主義が恐ろしい暴力と惨劇をもたらしてしまったという、先の敗戦の反省と総括に反する。

 以上のことから、設立以来一貫して反戦を訴え平和を希求してきた団体として、東京唯物論研究会は現政権による集団的自衛権容認の閣議決定、および戦争リスクを増大させ国際平和に反するような将来のあらゆる政策に対し、反対の意を表明することをここで決議する。加えて、研究団体として、世界平和の実現と世界中のすべての人々の人間性の回復に資する研究成果を上げるべく邁進していくことを確認する。

 
                          2014年11月15日
                           東京唯物論研究会